top of page

種のイロイロ。F1種、固定種ってなにが違うの?

  • 執筆者の写真: compactagri
    compactagri
  • 2020年7月20日
  • 読了時間: 4分

更新日:2021年8月23日


家庭菜園を始めるとき、まず最初に準備するものの一つ「種」。種にはF1種、固定種という区分があるのはご存知ですか?種の区分には他にも「有機種子」と「有機でない種子」という区分がありますが、そちらは文字の通り種の生産過程で有機か有機じゃないかという区分です。今回はF1種と固定種の違いについてご説明します。


固定種とは?

育てた野菜から種を採って、その種から野菜を育てるという自家採取を代々繰り返した野菜です。親から子、子から孫へと代々同じ形質が受け継がれていき、味や形などの形質が安定した野菜が育ちます。京野菜や加賀野菜などが有名ですが、昔から全国各地で守られている伝統野菜などが固定種になります。固定種は自然淘汰で生まれた種と優良株を選び種を採る母本選抜から生まれた種があります。


◉メリット

・生育が不揃いなため一斉収穫には向きませんが、収穫を長期間楽しめます。

・その土地に固定して生きていくために必要な遺伝情報を代々受け継いでいるため、

 環境適応能力が高いことが特徴です。

 化学肥料などが無い時代から生きてきた固定種は環境を生かし成長する力があります。

・珍しい品種が多く味やバリエーションも豊富です。

 スーパーなどに陳列されている野菜とは違うため付加価値があります。

・自家採取をして翌年に種をまく事で、同じ形質の作物を作ることができます。

 種代のコスト削減ができ、循環型農業が可能です。


◉デメリット

・収穫時期や形質が不揃いなため、同じ形や大きさのものを一斉収穫するには不向きです。


F1種とは?

F1種(交配種)とは味、収穫量や大きさ、耐病性を高めるために、人間が人工的に掛け合わせたものです。F1=first filial generationの略で「一代雑種」や「ハイブリッド」とも呼ばれ、メンデルが発見した「優劣の法則」を利用した技術です。その品種の特性は一代限りで、種を採ってまいても同じ形質の野菜にはなりません。F1種から採取した種は色々な形質を持っているため、自家採取は難しくなります。


◉メリット

・収穫時期、収穫量や形質が統一されているため、大量に安定供給することが可能です。

・病気に強く、特定の病気に対し耐病性を持った品種もあります。病気対策ができます。

・食べやすい味に品種改良されているため、一般受けしやすい野菜を作れます。


◉デメリット

・F1 種から種をとる事は可能ですが、優劣の法則によりF1種から採れた種(F2)が同じ形質を受け継ぐ訳ではありません。F1種のメリットである収量が多い、耐病性が高いなど良い特徴を受け継がず、病気に弱い、味が悪いなど農家にとって嬉しくない形質を受け継いだ個体もある一定量出てしまう為、安定した生産が期待できなくなります。

F1種が危険ってウワサを聞くけど本当なの?

F1種が危険というウワサ、耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか?ではナゼ危険と言われるのでしょう。その具体的な理由までご存知の方は少ないと思います。本当に危険なのでしょうか。答えは全くの誤解です。F1種を作る過程から、人為的に作られた危険なものと誤解を受けることが多いようです。F1種は異なる遺伝子を持った両親を掛け合わせることにより、両親それぞれの特徴を受け継いだ種です。自家受粉(花粉が同じ個体にある、めしべについて受粉すること)をする品種はF1種を作る際に都合が良くない為、花が咲く前につぼみを開いておしべを取り除き自家受粉を防ぎます。そして別の父親となる個体から花粉を集めて人工授粉させます。このやり方は日本で古くからやってきたF1種の作り方ですが、かなり手間がかかるため大量生産ができません。そこで現在、種苗会社では「雄性不稔」の性質を持った株を利用してF1種を採取しています。雄性不稔とは、花粉を作られず種子をつけない性質を持った株のことです。実際にさまざまな野菜の交配に利用されていますが、「種子をつけないから自然の状態ではなくてF1種は危険」という誤解が広まっているようです。しかし実際には、自然界で自生する植物にも雄性不稔の性質を持った植物がいるため「雄性不稔=危険」と判断するのは偏った意見かと思います。


まとめ

F1種、固定種どちらか一方が優れているわけではなく、それぞれのメリットとデメリットがあります。それを判断しながら自分に最適な種を選んで栽培していきましょう。F1種と固定種を両方栽培してみて、成長スピードや収穫量、味などを比べてみるのも楽しいかもしれません。こういうことができるのは家庭菜園の醍醐味ですね。

 
 
 

Comentarios


ニュースレター配信中

ご登録ありがとうございます。

bottom of page